特殊フィルムと高度な施工技術が、連節バスの美しいデザインを可能に
新しい「価値」を生み出してきた注目事例紹介:横浜市交通局(神奈川県)様
ずらり並んだ国産初の連節バス。青い輝きを得て、ベイエリアを運行
お客様がやりたいこと、実現したいこと
横浜市交通局からAMSに連絡が入ったのは2018年5月。AMSは横浜市営地下鉄のラッピング、ホームドア広告などを手がけてきたことから同局の地下鉄関連の部署とはお付き合いがありましたが、この電話はそれまで接触のなかった路線計画課からのもの。内容は2020年に運行予定の連節バス(通称:ベイサイドブルー)のラッピングでした。
ベイサイドブルーは国産初の連節バスで、横浜駅東口と山下埠頭を結びます。
車両外装カラー、シンボルマーク、バス停など一連のデザインを担当したのが、GKデザイングループ※1のGK設計とGKデザイン総研広島です。
以前からスリーエム ジャパンはGKデザイングループに向け、「3Mスコッチカル高耐候柔軟金属蒸着フィルム印刷加工品」を紹介していました。GKデザイン はこの製品に注目、ベイサイドブルーをデザインするにあたり、このフィルムを採用しました。
横浜市はシンボルマークや公共空間に青色を多用してきました。ベイサイドブルーのデザインにおいても、このフィルムのブルーメタリック色が高く評価されました。しかし非常に特殊なフィルムであるため、ラッピングには高度な技術・ノウハウが必要です。そこで白羽の矢が立ったのがAMSでした。その施工技術によって「国産初の連節バス」の名に恥じない美しいラッピングが求められました。
※1 GKデザイングループ
GKデザイン機構を持株会社に、GKインダストリアルデザイン、GK設計、GKグラフィックス、GKデザイン総研広島など国内外12社からなるデザイン企業グループ。
使用実績はベイサイドブルーが2例目となる特殊フィルム。
メタリックカラー、サイズなど、難しい条件に合わせた作業が必要
このラッピングで用いるフィルムは色彩が美しいだけでなく、高耐候性かつ軽量で、塗装の代替手段としての役割を果たします。しかし使用実績はベイサイドブルーがまだ2例目とあって、実際の施工について詳しく知る人はほとんどいません。
AMSは、スリーエム ジャパンと共に、横浜市交通局、メーカーである横浜日野自動車に、このフィルムの施工難易度が非常に高いことを説明し、理解を求めることからこの仕事を始めました。
具体的にはどのような点が難しいのでしょうか。
まず、メタリックカラーのフィルムでは、わずかな角度の差や狂いでも均一に見えない、下地に凹凸があると目立ちやすい、などの特性があります。またこの製品はマット仕様で低光沢ですが、貼るとき加熱し過ぎると光沢が出て、他の部分との差が出るという難点もあります。
通常のバスではフィルムの横幅は1200mmで、これを分割して貼りますが、連節バスに用いるフィルムは1シートのサイズが590mm×2400mmに限定されていることも課題でした。そこでAMSでは、(少し重ねて貼る)継ぎ目部分をなるべく少なくするように割り付け設計しました。さらにデザイン会社からの要望を正確に実現することも必要でした。
一台当たり10人が
丸2日をかけて施工!
メーカー、デザイン会社、AMSの連携でスムーズな作業を進める
施工の場所は横浜市磯子区滝頭にある横浜市営バスの車庫です。ここは既に連節バスが入れられるように改造されていたため、作業にも適していました。
ラッピングする連節バスは4台あり、一台当たり10人がまる2日をかけて施工しました。車両検査のスケジュールに合わせ、約一週間ずつ期間をずらし、ラッピングを完成させました。
この案件の大きな特色は、AMSが社内はもちろん、社外との密接な協力体制のもとに仕事を進めたことにあります。
AMSでは、営業と共に施工グループのメンバーが動き、技術面をサポートしました。また設計を担当する企画グループのメンバーの協力を得て、最適な割り付けには、フィルムサイズを20mm大きくするのが望ましいことを解明、スリーエム ジャパンに依頼して実現するなど、多角的視点から課題を解決していきました。
今まで扱ったことのないフィルムだったため、このフィルムを開発したスリーエム ジャパンの技術者とは直接、情報交換し、フィルムを実験車に貼って縮み方などの特性を検証しました。施工現場にはGK設計デザイン担当者を招き、デザインとラッピングそれぞれの専門家の視点から意見を交わし、フィルムの細かい処理などを決定しました。
このようにAMS、スリーエム ジャパン、GKデザイン など多様なメンバーが一体になったチームだからこそ、難易度の高い、“こだわりのラッピング”を完成できたと言えるでしょう。
作業を終えて、お客様からの反響
ベイサイドブルーのラッピングは、横浜交通局から高い評価をいただきました。2020年6月から運行が始まると、スマホで記念に撮影する人がいたり、SNSで評判になるなど、一般市民からの評判も上々です。
模型玩具(トミカ)が販売され、ステッカーを作る案や公的施設でベイサイドブルーの模型を走らせる案が生まれるなど、人気が広がっています。
またAMSはデザイン会社からの信頼からの信頼を得たことで、山下埠頭に設置された連節バス専用の待合所※2、横浜駅東口のYCAT(横浜シティエアターミナル)のラッピングの依頼を受けるなど、新たな仕事も生まれました。
今回、デザイン会社も含めた複数企業とのチームワークによって難易度の高い仕事を成し遂げたことは、AMSにとって貴重な経験となりました。
今後は、こうしたやりかたで進める仕事も増えていきそうです。
※2 連節バス専用の待合所
2020年1月オープンした待合所。ブルーメタリックの屋根をはじめ、AMSがラッピングを手がけた。
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